日本の杉は「隠された宝?」

日本の杉は「隠された宝?」

「スギ花粉」のニュースでおなじみのスギ。
春になると多くの人を悩ませる存在ですが、実はスギは日本の固有種
そして、日本の建築文化や暮らしを支えてきた“相棒”でもあります。


スギは日本だけの木

日本のスギの学名は Cryptomeria japonica(クリプトメリア・ジャポニカ)
「Cryptomeria」は“隠された宝”、「japonica」は“日本の”という意味。
つまり、「日本の隠れた宝」という名前が付けられているんです。
花粉症の人にとっては「本当かよ!?」と思いますが、そう名付けられているんですね。

スギは青森から九州まで、広く自生しています。
成長が早く、加工がしやすい。まっすぐ育ち、香りがよく、軽い。
そんな理由から古くから建材として重宝されてきた木なんです。

戦後には政府主導でスギの植林が進められ、人工林が全国に広がりました。
それが、現在のスギ花粉問題にもつながっているのですが……
日本の暮らしに欠かせない木だったからこその問題でもあるんですよね。
それほどまでに「人とスギの関係」は深いということですね。


触ってわかる“木のあたたかさ”

実際にスギの木材を手に取ると、すべすべして柔らかいのがわかります。
指でなぞるとほんのり温もりを感じる──。
まさに「木のあたたかさ」という言葉がぴったりの木です。

その軽さと扱いやすさから、建築だけでなく家具や小物、
最近ではアロマやお香などにも使われています。


日本各地の“ブランド杉”

同じスギでも、育つ場所によって個性はさまざま。
中には「ブランド杉」と呼ばれるものもあります。
今回はその中から代表的な4つをご紹介します。


秋田杉

ゆっくりと時間をかけて育った“北の名木”。
寒さ厳しい秋田の山で年輪がぎゅっと詰まり、赤みが強くツヤのある美しい木肌をしています。もともと自生していた天然杉が有名で、豊臣秀吉の時代から城や寺院に使われてきたという記録も残っているほど。
現在では天然杉は非常に貴重になっています。

👉 ポイント:寒冷地で育つことで、木目が細かく美しい


日光杉

樹齢400年を超える巨木も多く、淡い桃色の木肌が特徴です。
雪の少ない気候に育ち、まっすぐで通直な材になるため、建築材として重宝されています。
もともと杉が多く生えている地域でしたが、江戸時代に植えられた日光東照宮の参道「杉並木」によって、より日光の杉が有名になったといえます。
当然、日光東照宮の杉はきちんと管理されており、材料として出回ることはほとんどありませんが、老齢化などの理由で稀に日光の杉を加工した製品などが出ることもあります。

👉 ポイント:日光東照宮の並木もスギ。美しさと神聖さを兼ね備えた木


吉野杉

奈良県・吉野の山で、一本一本を丁寧に育てられたスギです。
秋田杉・日光杉は"天然"のイメージに対して、吉野杉は人の手によって丁寧に育てられた林業が有名です。 (もちろん、秋田杉や日光杉も林業を支える人達によって成り立っていますが、あくまでイメージです。)

吉野杉の林業は室町時代頃から行われていたといわれており、古くから林業で栄えていました。"節"の原因となる枝を適切に切り落とす「枝打ち」を丁寧に繰り返して節が少ない木を育てます。また、密林も特徴で、一般的な林業よりも木を密に植えていきます。そうすることによって成長スピードをコントロールし、たくさん植えた中でよく育ったものを厳選していきます。
その結果、木目が細かく、色つやがよく、軽くて強い そのような理想的なスギを育てています。

👉 ポイント:“人が育てた木”という点で、人工林の理想形


屋久杉

「千年杉」とも呼ばれる、屋久島の神秘的なスギ。
屋久島では樹齢1000年以上のものだけが“屋久杉”と名乗れます。
一般的には屋久島の標高500m以上に自生している杉を屋久杉と呼びます。

明治時代以降、屋久杉も建材として活用されておりましたが、
行き過ぎた開発から資源枯渇が危機にさらされました。
その後は伐採が制限され、1993年に世界自然遺産に登録後は特に厳しく制限されました。樹齢数百年~千年の木をたかだか100年しか生きない人間が伐採できないですよねぇ。

一度は屋久島を訪れて縄文杉を見てみたいです。

👉 ポイント:1000年以上かけて育った“時を刻んだ木”


まとめ:花粉だけじゃない、日本のスギ

スギは「花粉の木」と思われがちですが、
実は何百年も前から日本の文化や建築を支えてきた存在です。

その土地の気候、人の手入れ、時間の積み重ねによって、
それぞれに違う表情を見せてくれる日本の杉。
まさに“隠された宝”という名がふさわしい木ですね。

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