「森を守るなら、木を切っちゃダメ」
そう思っていませんか?
実は、その逆なんです。
木は“切ることで”森を守ることができます。
木を切ることが、森を守る理由
森の木は、人の手が入らないと過密になります。
木が混みすぎると日が入らず、下草が育たない。
土がやせて、水をためられなくなり、
やがては土砂災害の原因にもなってしまいます。
だから、計画的な伐採や間伐は森の新陳代謝になります。
古い木を伐ることで光が入り、新しい木が育つ。
それが森を若返らせる「循環型林業」という考え方です。
それでも、循環が止まりかけている
理屈ではわかっていても、いま日本の森の循環は
うまく回っていません。
大きな理由は、2つあります。
① お金の問題=担い手不足
木を伐っても、安い外国産の木材に押されて
国産材の価格は低いまま。
伐るにも運び出すにもコストがかかり、
「伐るほど赤字」になるケースもあります。
林業は危険で重労働。
それなのに、収入が不安定だから若い担い手が育ちにくい。
最近では「ウッドチェンジ」といって
建物や家具を木に変えていく動きもありますが、
消費者の立場からすると、
「木に変えると、自分にどんなメリットがあるの?」
と、実感がわきにくいのが現実です。
森を守るためには、
林業で暮らせる人を増やす=経済的な循環が欠かせません。
② 土地の分割所有が、管理をむずかしくしている
もうひとつの問題は、山の所有が細かく分かれていること。
相続を重ねるうちに、どの部分を誰が持っているのか
わからなくなっている山も少なくありません。
地図では線が引けても、森の中では木と根がつながっている。
だから、一部だけ伐採され、一部は放置──そんな状態も多い。
でも森は、1本1本が独立しているわけではありません。
木や川、そこにいる動植物たちがつながって、
ひとつの大きな生態系をつくっています。
つまり、どこか1カ所の管理が止まるだけで、
森全体に影響が出てしまうということです。
長い時間で考えること
木はすぐには育たない。
そして、結果もすぐには見えません。
だからこそ、森を守るには“長い目”が必要です。
でも、市場の原理の中では、
どうしても短期的な利益が求められます。
それ自体は悪いことではありません。
人が暮らしていくには、
短期的な利益を追うのも当然のこと。
ただ、森のように時間のかかる営みには、
やっぱり“公の力”が必要だと思います。
特に土地の分割所有の問題などは、ルール作りが必須です。
また、経済的にも長期で支える仕組みがなければ、
循環はどこかで止まってしまう恐れがあります。
森をつなぐ、“いいめぐり合わせ”
森は、人の暮らしとは無関係に見えて、
実は気候、水、災害、空気のすべてにつながっています。
木を切ることは、壊すことではなく、
次の世代へつなぐこと。
植える人、使う人、暮らす人。
それぞれの関わりがめぐってこそ、
森は元気でいられるのだと思います。
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